倫理承認研究

この研究は奈良先端科学技術大学院大学の人を対象とする研究に関する倫理審査委員会の審査・承認を得ております。

研究課題名 光散乱スペクトル解析による細胞診標本のAI診断
対象 近畿大学奈良病院に保管されている過去の細胞診標本
研究機関名 奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学領域 生体プロセス工学研究室
目的・意義 悪性腫瘍は光学顕微鏡では観察できない構造の乱れを有することが知られており、この構造の乱れを評価できれば、正常細胞と形態に大差がない腫瘍細胞でも識別できる可能性がある。我々はこれまでに、胸水細胞診標本に含まれる中皮腫と中皮細胞の光散乱スペクトルを測定し、得られたスペクトルの主成分のクラスタリング解析をおこない、中皮腫細胞と中皮細胞を散乱スペクトルのAI解析により区別できる可能性を示している。本研究では、この新しい細胞診断方法の確立を目的とし、悪性腫瘍細胞と正常細胞の光散乱スペクトルに含まれる微細構造の特徴を、機械学習(AI解析)により診断する方法を開発する。本研究はこれまで困難であった悪性腫瘍の早期診断に繋がる可能性があり、大きな意義がある。
方法 顕微鏡下において透過光が直接観測されない暗視野照明法で白色光を細胞診標本に照明し、一つの細胞から散乱された光を対物レンズで集めて分光器へ導入して細胞の光散乱スペクトルを計測する。悪性腫瘍細胞と正常細胞から得られた光散乱スペクトルを教師付きの機械学習によって解析し、光散乱スペクトル中に表れる悪性腫瘍細胞に特徴的なスペクトル成分を明らかにする。さらに得られた特徴量を基にした交差検証により、機械学習に用いていない細胞診標本に関して悪性腫瘍細胞の正答率を検証する。
個人情報の取り扱い 特定の個人を識別することができないよう加工された試料・情報の提供を受ける。
研究責任者 奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学領域 生体プロセス工学研究室 教授 細川陽一郎